ひとりで生きてるわけがない

わたしが今、わたしでいられているのは、自分のしてきたことの積み重ね。無意識にそう思っていた。

 

わたしは自分が勤めている会社のことが大好きだ。自他ともに認める弊社大好き芸人。スタッフのことも、とても大切に思う。これは入社したときから今までずっとそうで、日々がんばれる理由のひとつ。

どうしてそんなに会社が好きなのか、想えるのかと聞かれるし、自分で考えることもあった。もちろんスタッフがいい人たちだから、とか、仲がよくてみんなで同じ方向を見てがんばれるから、とか、いろんな理由がある。ただ、その大元はわたしの「自分のいる場所を好きでいたいと」「好きでいられる場所にしようとする」性質からだと思っていた。

でも、それは大きなまちがいだった。

それだけなわけがない。

 

勤務年数10年にもなると、昔のことをよく思い出す。

10年近く前、新卒で入社したとき、わたしには先輩がいた。熱くて、モロ関西人!面倒見がよくて、ダメなときは怒ってくれたし、でもその何百倍もたくさん、笑ってくれた。そして、会社のことをめちゃめちゃに愛していた。

わたしに愛社精神みたいなものがあるとしたら、どう考えても、先輩の影響だ。

先輩は、いつも会社の空気を明るくしてくれた。元気がなければ笑わせてくれた。自分が出向することになり忙しい毎日でも、帰り道にオフィスに顔を出してくれた。心配してよく電話もかけてくれたし、自分のこと、というよりも後輩のわたしのことや会社のことをいつも考えていた。わたしのことを「仲間だ」と何度も言ってくれて、だからわたしは「自分も会社のひとりなんだ」と思えたし、この会社のためにがんばりたいと、思えるようになったんじゃないか。

そんなことを考えていたら、泣けてきた。

ひとりで生きている気になっちゃ、だめだ。ひとりで生きてるわけがない。

 

先輩はもう別の道に進んでしまったけど、お送りするとき、ろくにお礼も言えなかった。肝心なときにいつも、何も言えなくていやになっちゃうんだけど、こうして時間が経っても何かを教えてくれるのが、先輩ってものなのかなあ。