交差点の奇跡

誰かと出会ったり、別れたり、関わったり、関わらなかったりするようすは、まるで交差点みたいだ。

行き先も目的も速度もちがう人たちが、それぞれの人生を歩んでいる途中に、たまたま出会って一緒のときを過ごすのは、奇跡のようなこと。わたしが以前スタッフをしていたカレーバー「シューベル」や、いま参加している「SUSONO」。そこで出会うまではみんな各々歩いていて、たまたまここに、集まったのだ。

そして、しばし同じときを過ごす。

ずっと人生を並走できる人ばかりじゃないから、交差しているのがほんの一瞬なこともある。でも悲しむんじゃなくて、その奇跡みたいなときをうんと大事にしたい。人も、自分も、状況も変わるものだから。場所は、水みたいなもので、流れていくのが当たり前なんだと思う。

交差点では、いろんなペースの人がいる。わたしはゆっくりペースなほう。ちょっと立ち止まったり、同じ場所をウロウロしたり。うーん、人生進んでいるものだと思いたいものだが。遠くへ、速く行くだけが人生じゃないし、熊谷守一みたいに30年庭から出なくても、そういう人にしか見えないものがあり、描けない絵があるわけだから。
けもなれの最終回でもそれぞれが「自分は自分でしかいられない」ことを確認し、それでもほんのちょっと勇気を出して、生きていた。日常をぶっ壊す爆弾を投げられるのも、誰かと出会えたからだったりする。
ファイブタップで生まれたあの奇妙な人間関係みたいなものは、実は日常のなかにも溢れてるとわたしは思う。

自分のペースで、自分らしく歩いていればいい。そんなとき交差点で出会えた人たちと過ごせることを、ただただ楽しみたいと思う近頃です。