わからないままの太宰治

恥の多い生涯を送ってきました。 中学生のころ初めて太宰を読んだ感想は「こういうことって小説にしてもいいんだ!」だった。自分の中にある認めたくない、見えないふりをしている気持ちが、そこに書かれているから驚いたのだ、たぶん。 以前、木村綾子さん…

スイミーでいること

こんなことわざわざ言うのもはずかしいけど、小・中学生の頃「変わってるね」と言われることが嬉しくて、あえてそういう行動をしていた節がある。「着眼点違うでしょ」みたいなところを見せたかったのかもしれない。恥ずかしい。シャープかよ。 アイディア勝…

じぶんの宇宙のことで精一杯

最近になって生きるのが前より楽になってきた。 じぶんの宇宙とひとの宇宙を分けて考えられるようになってきたからだと思う。今までもわかってはいたつもりだけど、誰かの態度に傷ついたりそれを根に持ってしまったり、人の目を気にしてしまうくせというのは…

ミスター・ドーナツの思い出

わたしが生まれ育った町には、デパートがなかった。 デパートどころか、大型スーパーも、ツタヤも、ブックオフも、マクドナルドも、ミスタードーナツも、この町にはなかった。お父さんの車に乗って隣町やその隣町へ行けばだいたいのことはこと足りたから、不…

自分のなかに原因をさがすこと

なにか問題にぶつかったとき、誰かとうまくいかなかったとき。どうやって解決してきただろう。 なんでわかってくれないんだろう…とか、あの人のこういう性質が…とか、誰かのせいにしてしまうこともたくさんあった。「人を変えるのは難しいし、すべきでない」…

だれかに勝つことよりも

「1500メートル、ゴール目前で、わたしのこと抜かしたよね」 初めて会った子にそう言われて、え、?と首をかしげた高校の入学式。よく聞けば中学時代の陸上大会で、ゴール前の直線で私に抜かされ4位になったのが、彼女だったらしい。正直、誰を抜いたかなん…

子どもになろう

31歳にもなってなんだけど、どんどん子どもに戻っていきたいと思ってる。 それは、人目を気にせず、自分の気持ちにすなおでいることを指している。そして眠いときに寝たり、友だちをジグソーパズルに誘ったりすることを、我慢しない、と言うことも指している…

わたしは今年もわたし

毎年、年末年始はその年を振り返ったり、石井ゆかりさんの年報を読んで目標を立てたりと張り切っていたのだが、今年はいい意味でぬる〜っと始まった。まだ12/29みたいな気持ちだ。 2019年は2018年の続きでしかなく、わたしはこのままわたしでいられたらいい…

2018年のこと

年末が近づいてきて、今年のことを思い返すことが増えてきた。渦中はいろいろ悩んだりしたことも、ふしぎと年末だと受け止める余裕が出てきたりする。で、どうだったわけ今年?と、バーカウンターで自分と話すような感じ。ちゃんと自分の話を聞いてあげなき…

交差点の奇跡

誰かと出会ったり、別れたり、関わったり、関わらなかったりするようすは、まるで交差点みたいだ。 行き先も目的も速度もちがう人たちが、それぞれの人生を歩んでいる途中に、たまたま出会って一緒のときを過ごすのは、奇跡のようなこと。わたしが以前スタッ…

ひとりで生きてるわけがない

わたしが今、わたしでいられているのは、自分のしてきたことの積み重ね。無意識にそう思っていた。 わたしは自分が勤めている会社のことが大好きだ。自他ともに認める弊社大好き芸人。スタッフのことも、とても大切に思う。これは入社したときから今までずっ…

トマトの幸せを考える

わたしはトマトが好きではない。 好きではないだけで、嫌いなわけじゃない。ただ、食べなくていいのであれば食べないし、トマトが好きな人がいたら、わたしの分のトマトをあげたい。トマトを好きな人にトマトをあげるのが好き。屁理屈だと、思うでしょうか。…

大人だけどみんなで手をつないで帰った

金曜日の夜の話。 歩き慣れたはずの道を、みんなで手をつないで帰った。簡単にいうと、酔っ払っていたから。だけどなんだか嬉しかったから。はしゃいで手をつないで帰った。 酔っ払っているとき、いつもよりちょっと素直になれる気がする。お酒の力を借りて…

じぶんの中は自由

職業とは別で、その人の"ベースタイプ"ってあると思う。在り方、みたいなこと。 この人は思いやりがあって基本が接客業だなあとか、世界の見つめ方、ものごとの切り取り方がフォトグラファーだなあとか、営業マンだけど実は心が詩人だなあ、とか。いつも思い…

ものすごく時間がかかったとしても

ときどき、ものすごく、時間がかかる。おかしな言い方だけど、わたしはとにかく時間がかかる。かかっちゃう。 最近向き合うことになったこの性質。嫌になりそうにもなったけれど、諦めがついてきた。というか、それがわたしなのだから。自分で自分を、待って…

やりたくないこと、やらないでみたい

「やりたくないことをやらない」なんて至極当然のことだ。でも私達はしばし、やりたくないことをやっている。 例えばだけどわたしは今いる会社が大好きだ。だから「働きたくない」「会社に行きたくない」と感じることが、今やゼロ。そういう大きな項目として…

母と樹木希林が似ている

わたしは母がどんな人間だったのか、よく知らない。 母のこと 大学生3年生の終わり、母が亡くなった。高校を卒業して家を出るまでは一緒に暮らしていたのだから、もちろん全然知らないというわけではない。 ただ、家にいる母は「お母さん」の姿でしかなかっ…

働き者とリゾート

「リゾート」って自分に縁がないものだと思ってたんだけど、ごめんなさい。とんでもなかった。 リゾート、最高! 「再び」を意味する "re" と、フランス語で「出かける」という意味を持つ "sortir" の略である "sort" が合わさった単語で、「何度も通う場所…

ポエムをなめるな

2016年にわたしを救ったことばがある。 最果タヒさんのブログで出会った、この文章。 「お化粧も詩である、ファッションも詩であるという立場に僕は立ちたいんです。資生堂の仕事というのは、日常にあって日常を超えること。現実を童話の世界に変えること。…

小説の情景と生きる

鬱蒼とした緑が雨でつやつや濡れていると、「哀しい予感」みたいだなぁと思うし、夏の始まりや終わりにはつぐみに会いたくなるし、わたしの中にはだいぶ吉本ばななさんの文章や物語から受け取ったものたちが生きているんだなぁ — サチコ (@cho_co7) 2018年7…

"ほんとう"を見るちから

ずっと、ひとの気持ちをわかりたかった。 いつからそう思っていたか覚えていないけれど、わたしにとって大切なのは、一番に早く走れることや、テストでいい点数を取ることよりも、友達がたくさんいて、みんなで楽しく過ごせているかどうかだった。 幼い頃、…

叶わない思いをそっとしてしまう

恥ずかしい話だけれど、"ちゃんと切符を買えば遠くに行ける"こととか、"病院に行ったらちゃんと風邪は治る"こととか、そういうことを本当の意味で自覚したのがとても、遅かった。 フットワークは軽い方だけど、妙なところで「手の届く範囲でいいのだ」と思っ…

たとえてしまう

「彼氏にするなら何の動物がいい?わたしはね〜...」と聞いて人を戸惑わせたことがある。 「そんなこと考えたことなかった!」と彼女は笑ってくれたけど、こういうの、自分ではふつうだと思っていた。もしかしたら多少変わった癖なのかもしれない。的確にイ…

好きな川の名前がいえない

わたしが生まれ育った町には、川があった。 そのことがあってか、わたしは川が好きだ。海も好きだけど、広すぎてときどき途方に暮れてしまう。川はいつも上流から下流に流れている。潔くて、確かで、安心する。 川が好きな理由は、そんなことでいいんだと思…

たまごサンドを信頼している

そういえば、あのときもそうだった。 就職活動を一旦やめよう、と決意したのは銀座駅のホームだった。そのときわたしはアホみたいな顔でたまごサンドを食べながら、でも確かにそう思ったんだ。 このままやってても受からないし、嬉しくないな。不自然なこと…

一生懸命ペンギン

こんなたとえ話をしたことがある。 「一生懸命飛ぶ練習だけしたペンギンと、毎日ともだちと遊んでたペンギン、どっちが飛べると思う?」 どちらが偉いという話でもなく、正しいという話でもなく。わたしは毎日ともだちと遊んでしまったタイプのペンギンなの…

勝手にしあわせでいて

好きな人たちに対して思うことがある。それは、どうか勝手にしあわせになってほしい、ということ。 笑っててほしいし、しあわせになってほしいし、たのしがっててほしいし、すきなことしててほしいんだけど、ほんとに願ってるんだけど、それをやるのってその…

季節のわるぐちは言わない

梅雨が明けた。 6月に梅雨が明けるのは、関東では初めてのことらしい。ここ数日の日差しがまるで夏だと思っていたら、ほんとうに来ていたんだ。6月が忙しかったこともあり、社内では「梅雨ってあったっけ?」と、みんな急にやってきた夏に追いつけていない様…

こころに持つ辞書が似ているひと

好きなひとたちの共通項のひとつに 「違和感のあることばをつかわない」がある気がする。 わたしにとってはとても、大切なこと。 数年前、とある男の子と自宅へ向かう坂道を登っていると 彼は「疲れてしんじゃう」と言った。 (わたし毎日登ってるんだけど..…